高校野球で勝つ方法。それはピッチャー交代できる野手をどれだけ作れるかだ

高校野球

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しゃっす!

ここ数年高校野球を観ていて気付いたのですが、自分が高校球児だった10数年前の頃から比べると変わったことがあります。

それはピッチャーとして登板出来る野手が増えたこと。

 

背番号3とか5とか、本来ファーストやサードのレギュラーポジションについているはずの選手がピッチャーとしてマウンドに上がるシーンをよく見るようになりました。

 

しかも普通に140キロ超えの速球をバンバン出すっていう。笑

 

野球をやっている人間からすれば「なるほど!その手があったか!」と感心したものです。

むしろこれまで誰も気付かずやらなかった辺り、やっぱり野球部って自分含め脳筋の集まりなのかもと思ったりもしましたが・・・。笑

 

野球のルールなどにあまり詳しくない人にはよく分からない話かと思うので、「なぜ野手がピッチャーをやると良いのか?」を説明したいと思います。

 

高校野球は好投手をどれだけ集められるかが勝利のカギである

ぶっちゃけて言いますが、高校野球で勝つためには良いピッチャーをどれだけベンチに入れられるかがほぼすべてです。

野球では勝敗の9割を左右するのはピッチャーだと言われています。

 

高校野球は予選大会から甲子園までおよそ1ヶ月半、ほぼ休みなしで連戦連戦の短いスケジュールで開催されます。

なのでピッチャーが一人だけでは到底勝ち続けることは出来ず、複数のピッチャーが登板出来る状態を作ることが高校野球で勝ち続ける秘訣なのです。

 

 

昔のピッチャー編成はこんな感じ

自分が現役でやっていた頃は、「エースクラスの投手が2〜3人ベンチにいる」

これが甲子園に出るチームの必須条件でしたし、こういったチーム構成をする高校がほとんどでした。

 

 

しかし実はこの作戦には一つ欠陥があります。

 

バスケットボールなどとは違い、野球では試合に出場していた選手が一度ベンチに戻った場合、もう一度試合に出ることは出来ません。

なので試合中ピッチャーを交代するタイミングはかなり慎重にならないといけません。

なにせ一度交代してベンチに戻してしまったら、もうその試合中は元に戻せないんですから。

 

さらにピッチャーが打ち込まれて交代、そのピッチャーも打ち込まれて交代・・・を繰り返すハメになった場合、ベンチのピッチャーがいなくなったらもうおしまいです。笑

 

それを防ぐためにエースナンバーや2番手ピッチャーに外野などを守らせて、

・エースが投げる時は2番手が外野

・2番手に交代したらエースは外野に移動

 

このようにピッチャーをベンチに下げないような作戦を取ったりしていました。

しかしこの作戦も完全とは言えず、ピッチャーを2人入れてしまうと野手が1人打線に入れないことになり、チームとしての打力が下がることになります。

もちろん打てるピッチャーなら良いのですが、投球に特化して練習も野手とは別メニューでこなすことが多いピッチャーはどうしても下位打線を打つことが多くなりがちです。

なので守備力を上げるか攻撃力を上げるか的な、トレードオフの作戦だったわけです。

最近のチーム編成はマルチプレイヤーを増やす傾向にある

で、この問題を解決したのが冒頭の「野手がピッチャーとして登板する」という作戦だったわけです。

これなら打線の威力が下がることもないし、打ち込まれてもベンチに下げる必要もなく、元々いたポジションに戻せば良いだけです。

 

しかし言うは易く行うは難しで、実際にこれを導入するのは簡単なことではありません。

 

誰でもマウンドに上がってボールを投げられれば良いのかというとそんなことはなく、野手と投手の投げるボールの質というのは完全に違うんです。

野手の投げるボールというのは往々にして「棒球」というやつで、ノビもキレもない打ちやすいボールであることがほとんどです。

 

ピッチャーは普段の練習からずっと投げることに特化しているだけあり、投げることに関してはプロです。

ボールの回転数や方向などを常に気にしながら投げているので、その球質は野手のそれとは大きく異なります。

 

なのでピッチングの経験がない野手をマウンドに上げても、ボッコボコに打たれておしまいです。

 

かといって野手を練習の合間にピッチング練習させたところで、そんな技術は付け焼き刃でしょう。

 

こういった理由から、どんなチームでも真似できるかというとそんなことはないというのが実情なんです。

 

根拠はないのですが、自分は最近のこの傾向を作り出したのは大阪桐蔭の西谷監督だと思っています。

大阪桐蔭は数年前からこのような『野手のレギュラーでエース級の投球をする選手』がおり、選手のマルチプレイヤー化という方向で育成している印象を受けました。

 

これは自分がピッチャーだった経験からそう思うのですが、野手として一流でも投手として一流になれるとは限りません。

しかし逆であればその可能性はあります。

つまりバッティングは高校の3年間でも十分成長することは出来ますが、ピッチングをゼロから指導して甲子園で通用するレベルにするのはかなり難しいということです。

それに松坂大輔しかり、田中マー君しかり、本当にセンスのある野球選手はエースでクリーンナップを打つことがほとんどです。

つまりピッチャーが出来ればバッティングも出来るはずという理屈です。

(ちなみに自分はバッティングセンスは皆無でした。笑)

 

このことから、おそらく西谷監督がスカウトしているのは投手経験のある選手でしょう。

今年の大阪桐蔭でショートを守りながらピッチャーとしても登板する根尾昂くんは、中学時代ピッチャーだったはずです。

 

ピッチャーは「9人目の野手」とも言われていて、バント処理などもするので野手としての守備を覚えるのはそんなに難しくありません。

 

しかし中学から140キロ以上を投げていたような投手を野手として使おうとは、西谷監督のドラスティックな起用方法と育成方針には感心するばかりです。

そりゃそんなバケモノ揃いのチームだったら、甲子園上位の常連校になるわけですね。

 

というわけで野手でピッチャーが出来るチームが増えている理由についてでした。

それではまた!

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